
地表面で約80cmの断層が発生しましたが、直下に埋設されていたクボタケミックスの水道配水用ポリエチレンパイプ(スーパータフポリ)に被害はありませんでした。
写真提供:POLITEC
地震時に想定される地盤変動を受けた際に、管路が十分な変形性能を有することを確認するため以下のような実験を実施しました。
管路に、大地震時に生じる段差的地盤沈下を想定した管軸直角方向の地盤変位を与え、管路の変形挙動を調べます。
> 試験方法
長さ8mの土槽内に供試管をEF接合で配管・埋設し、土槽底部に設置した電動式の沈下テーブルを片側4m分だけ降下させることで模擬的に地盤の段差沈下を発生させて、供試管の挙動を確認します。
> 試験結果
最大発生歪みは50cm段差沈下時でも約3%でした。また沈下終了後の水圧試験でも異常は認められませんでした。
> 試験方法
長さ50mの土槽内に、供試管を埋設し、水圧0.75MPaを負荷した状態で、土槽中央部に模擬的地割れ(地割れ量50cm)を発生させました。
> 試験結果
50cmの地割れが生じても、漏水は発生せず、管に破断などの異常は認められませんでした。
社団法人日本水道協会「水道施設耐震工法指針・解説(2009年版)」に、一体構造管路として水道配水用ポリエチレン管の耐震計算法が掲載されました。
軟弱かつ極めて不均一な地盤等、最も厳しい計算条件でも、規程の耐震性能を有しています。
「計算上の最大管体歪み1.6%程度に対して、
許容歪みは3%」
既住地震で実測された地盤変状(液状化による側方流動)に対して、十分な安全性を有しています。
「側方流動の最大地盤歪み2%程度に対して、
許容歪みは6%」
震度6を超える地震で水道配水用ポリエチレンパイプの管路に被害は発生しませんでした。
地震名 | 調査地域 | 震度×回数 | 管路延長 | 被害状況 |
---|---|---|---|---|
宮城県北部地震(2003.7) | 鹿島台町 | 6弱×1回 | 約10km | 無 |
十勝沖地震(2003.9) | 浦河町 | 6弱×2回 | 約2.6km | 無 |
新潟県中越地(2004.10) | 小千谷市 | 6強・6弱×2 | 約11.4km | 無 ※ |
能登半島沖地震(2007.3) | 門前町 | 6強×1回 | 約2km | 無 |
新潟県中越沖地震(2007.7) | 柏崎市、西山町 | 6強×1回 | 約13km | 無 |
岩手・宮城内陸地震(2008.6) | 奥州市 | 6強×1回 | 約47.4km | 無 |
熊本地震(2016.4) | 益城町、他 | 7×2回 | 約147.7km | 無 |
※フランジ部からの漏水が1箇所報告されましたが、管及びEF接合部には被害はありませんでした。(山古志村の大規模崩落を除く) POLITEC調べ
調査地域 | 震度 | 管路延長 | 被害状況 |
---|---|---|---|
宮城県内陸部(栗原市,大崎市,登米市) | 6強~7 | 58.5km | 無 |
宮城県沿岸部(南三陸町,涌谷町,石巻市 他) | 5強~6強 | 79.0km | 無 ※ |
岩手県(釜石市,大槌町,久慈市,奥州市 他) | 5強~6強 | 122.5km | 無 |
※津波によって、防波堤破壊と共に地盤ごと破壊された場合と水管橋・橋梁添架管の被害がありました。 POLITEC調べ
厚生労働省が主催する「管路の耐震化に関する検討会」により、今後の水道管路耐震化のための確実かつ効果的な対策の推進を目的として、管路の耐震化に関する検討が行われました。検討報告書では、配水用ポリエチレン管が耐震管として分類された上で、東日本大震災による被害状況の分析がなされています。水道配水用ポリエチレン管は、調査対象区間において被害なしと報告されています。
POLITECでは、「水道配水用ポリエチレン管の耐震性評価検討委員会」を立ち上げ、これら研究成果とこれまでの地震被害調査結果を踏まえて、水道配水用ポリエチレン管が異形管や給水分岐用のサドル付分水栓も含めた管路全体として、レベル 2 地震動に十分に対応できる高い耐震性能を有することを明らかにするとともに、地盤変状に対する変形性能に関する検討を行い、直管だけでなく突起部も含めた総合的な耐震設計の手引きの作成に取り組んで参りました。このたび、3 回にわたる委員会での審議や分科会等での議論を重ね、「水道配水用ポリエチレン管の耐震設計の手引き」を作成しました。
「水道配水用ポリエチレン管の耐震設計の手引き」の概要版は、POLITECのホームページでご覧いただけます。
水道管路の基盤インフラとしての機能低下を招かない様に持続可能な管路更新を実現するために、100年以上の寿命を有した水道管路が要望されています。POLITECでは、水道配水用ポリエチレン管に対して、寿命に至る要因である
1.管路に作用する内圧・外圧、2.地震、3.水道水中の残留塩素について検証を行いました。その結果、水道配水用ポリエチレン管路が100年以上の寿命を十分有していることを検証しました。
EF(エレクトロフュージョン)接合とは、電熱線を埋め込んだ継手に管を挿入した後、コントローラから通電して電熱線を発熱させ、継手と管の樹脂を加熱溶融して接合する方法です。
管と継手が組織的に一体化し、管体部と同等以上の接合部強度を発揮するため、信頼性の高いパイプラインが構築できます。
同時通電の場合
電熱線が発熱を始め、樹脂の温度が上昇します。
樹脂が加熱溶融されて膨張し、コールドゾーンで閉じ込められることにより、界面圧力が発生します。これにより管と継手の樹脂が融着されると同時にインジケータが押し上げられます。
溶融された樹脂が再び固化して融着が完了し、管と継手が組織的に一体化構造となります。
出力ケーブルの接続
融着データの読み取り
優れた管材性能を得るためには、管材の特性を知り、正しい配管方法を修得することが必要条件です。各種講習会を実施し、皆様の施工をバックアップしています。
製品知識習得のために
製品技術習得のために
実際の現場での配管方法習得のために
施工技術の更なる向上のために
施工講習会を受講し、テストに合格された方には、受講証を発行しています。
ポリテック受講証
<イメージ>
クボタケミックス受講証
<イメージ>
クボタケミックス
フォローアップ講習会の受講証
<イメージ>
地震等管路に大きな力が加わったとき、とくに破損が予想されるのは管と管の接合部。クボタケミックスはEF接合後の管材に対して数多くの試験を行い、管路の高い信頼性を確認しております。
管同士を迎角30°で固定した後の水圧試験(2.5MPa×2分)で、漏れその他の異常なし
EF接合直近の管を内面が接触するまで圧縮した結果、接合部はく離の異常なし
EF接合部直近の管を30%偏心へん平した後のん水圧試験(2.5MPa×2分)で、漏れその他異常なし。
内面接触まで、割れその他の異常なし
※水道配水用ポリエチレンパイプ・継手は日本水道協会規格に制定されております。
[規格品目]
直管
EFソケット
[規格品目]
EF受口付直管
EFベンド
EF片受ベンド
ショートベンド
EFチーズ
EF片受チーズ
チーズ
EFキャップ
キャップ
※配水用ポリエチレンパイプシステム協会(POLITEC)では、水道システムとして必要な各種製品を規格制定しております。
規格番号 | 規格の名称 | 適用呼び径 |
---|---|---|
PTC K 03 | 水道配水用ポリエチレン管 | 50~300 |
PTC K 13 | 水道配水用ポリエチレン管継手 | 50~300 |
PTC K 20 | 水道配水用ポリエチレン管用溶剤浸透防護スリーブ | 50~200 |
PTC G 30 | 水道配水用ポリエチレン管メカニカル継手 | 50~200 |
PTC G 31 | 水道配水用ポリエチレン管不断水分岐割T字管 | 75~200 |
PTC G 32 | 水道配水用ポリエチレン挿し口付ダクタイル鋳鉄異形管 | 50~200 |
PTC B 20 | 水道配水用ポリエチレン管サドル付分水栓 | 50~200 ×20~50 |
PTC B 21 | 水道配水用ポリエチレン管金属継手(ISO変換継手) | 13~50 |
PTC B 22 | 水道配水用ポリエチレン挿し口付ソフトシール仕切弁 | 50~200 |
PTC B 23 | 水道配水用ポリエチレン挿し口付き青銅製仕切弁 | 50 |
PTC B 24 | 水道配水用ポリエチレン受け口及び挿し口付き青銅継手 | 50 |
EF結合作業
運搬
曲げ配管
雨天時施工
降雪時施工
軌道付近の配管(電食対策)
露出配管
橋梁添架配管