水道分野
2016/07/01
急斜面の露出配管に威力を発揮する“サンプロテクト” 傾斜地や橋梁への水道配管に新提案
ハイキングコース内の施工現場
大阪府の北部に位置する箕面市は 、「みどりと子育ての町 箕面」をキャッチフレーズとする大阪都市圏のベッドタウンだ。阪急箕面駅を中心とした高級住宅地が市の南部に広がり、人口の大半がそこに集中している。一方、中部から北部へと続く山地は市の3分の2を占め、そこには野生のニホンザルの群れで有名な明治の森国定公園がある。この公園周辺には箕面大滝へと続く人気のハイキングコースがあり、紅葉の季節には多くの観光客が訪れている。
今回、”サンプロテクト”の施工現場となったのが、そんなハイキングコースの一つだ。
山腹にある配水池から山裾の住宅地へ高低差を利用した管路で水道水を供給しているが、布設から40年以上が経過し、管路の老朽化とともに管内部の閉塞などの問題が発生しており、布設替えの必要性が高まっていた。
山間部の施工に優れた水道配水用ポリエチレンパイプ
布設替えの対象となった配管は、曲がりくねったハイキングコース沿いの埋設部分とハイキングコースから谷側に入った斜面沿いの露出部分であった。通常の配管作業と比べて重機の利用が大きく制限されるため、施工性への配慮が最優先であり、何度も布設替えできる場所でないため、耐震管路の構築が必須条件であった。
そこで選定されたのが、クボタケミックス水道配水用ポリエチレンパイプである。軽量、施工のしやすさに加えて耐震性の高さがポイントとなった。
箕面市上下水道局水道工務課の橋本圭司さんは、「水道配水用ポリエチレンパイプのこれまでの採用実績や採用現場、さらに地震被害の追跡調査から得られた耐震性などを総合的に評価した結果、採用することを決めました」と語った。
また、配管工事を担当する安田株式会社、大阪支店工事部の竹内崇さんは、「水道配水用ポリエチレンパイプの良いところは管の移動に重機を用いないこと、接合方法も解りやすく確実だ。」と施工性の良さを評価している。さらに、「管に柔軟性があるため、多少の曲がりや勾配の変化は生曲げ等で調整可能なのが、丘陵地の配管で大きなメリットになりました」と語った。
急斜面に外層付水道配水用ポリエチレン管〝サンプロテクト〞
工事で最大の難関となったのが、最大斜度30°の急斜面に沿った露出配管であった。
ここには数メートル間隔で設置されたコンクリート基礎ブロックに古い鋼管が固定され、同様の配管材で布設替えするとなると重機が入れず、困難な施工が予想された。
橋本さんは当初から、「露出用の配管材ではないので保護が必要になるが、現場の状況や工事の安全面から水道配水用ポリエチレン管を用いるべきではないか」と考えていた。そんな時、クボタケミックスから紹介されたのが、外層付水道配水用ポリエチレン管〝サンプロテクト〞であった。
サンプロテクトは、表面に低密度ポリエチレンの保護層を設け、内層管である水道配水用ポリエチレンパイプを紫外線やキズから防護する。耐震性に優れた水道配水用ポリエチレンパイプを露出部分に使用できるので、本件のような工事には打ってつけの配管材であった。
正式発売の前にも関わらず採用が決まり、工事に間に合うよう開発が急ピッチで進められた。
同時通電工法でスピードアップ
急斜面では融着機や発電機を設置することができず、安全面からも問題があるため、EF接合作業は困難であった。そのため急斜面のコンクリート基礎ブロックに取り付けられた配管架台に施工用のローラーを設置し、緩い斜面で陸継ぎしたサンプロテクトを斜面の入口でEF接合し、順次ローラーで急斜面に送り込むという作業手順で施工された。
この急斜面の工事で大きな威力を発揮したのが、クボタケミックスEF継手の同時通電工法だ。2口同時に行えるため、急斜面の入口でのEF接合の回数や時間は、半分近くに短縮でき、施工困難な現場にも関わらず、延長50m、高低差30mの施工は予定通り終了した。
国土の約70%が山で覆われる日本。箕面市のような山間地や丘陵地を持つ自治体は数多い。そんな山間地での水道配水用ポリエチレンパイプの採用事例を、これまで本誌で多数紹介してきた。
そして今回、新たにサンプロテクトが開発され、水道配水用ポリエチレンパイプが施工困難な場所で露出配管できるところを取材し、改めてこの配管材の可能性を実感することができた。
急傾斜地のみならず、水道配管を橋梁添架する際に、サンプロテクトを使用することで、ポリエチレン管の軽量で錆びない特性を活かしコストの低減を図る等、様々な展開が考えられる。
大阪府の北部に位置する箕面市は 、「みどりと子育ての町 箕面」をキャッチフレーズとする大阪都市圏のベッドタウンだ。阪急箕面駅を中心とした高級住宅地が市の南部に広がり、人口の大半がそこに集中している。一方、中部から北部へと続く山地は市の3分の2を占め、そこには野生のニホンザルの群れで有名な明治の森国定公園がある。この公園周辺には箕面大滝へと続く人気のハイキングコースがあり、紅葉の季節には多くの観光客が訪れている。
今回、”サンプロテクト”の施工現場となったのが、そんなハイキングコースの一つだ。
山腹にある配水池から山裾の住宅地へ高低差を利用した管路で水道水を供給しているが、布設から40年以上が経過し、管路の老朽化とともに管内部の閉塞などの問題が発生しており、布設替えの必要性が高まっていた。
山間部の施工に優れた水道配水用ポリエチレンパイプ
布設替えの対象となった配管は、曲がりくねったハイキングコース沿いの埋設部分とハイキングコースから谷側に入った斜面沿いの露出部分であった。通常の配管作業と比べて重機の利用が大きく制限されるため、施工性への配慮が最優先であり、何度も布設替えできる場所でないため、耐震管路の構築が必須条件であった。
そこで選定されたのが、クボタケミックス水道配水用ポリエチレンパイプである。軽量、施工のしやすさに加えて耐震性の高さがポイントとなった。
箕面市上下水道局水道工務課の橋本圭司さんは、「水道配水用ポリエチレンパイプのこれまでの採用実績や採用現場、さらに地震被害の追跡調査から得られた耐震性などを総合的に評価した結果、採用することを決めました」と語った。
また、配管工事を担当する安田株式会社、大阪支店工事部の竹内崇さんは、「水道配水用ポリエチレンパイプの良いところは管の移動に重機を用いないこと、接合方法も解りやすく確実だ。」と施工性の良さを評価している。さらに、「管に柔軟性があるため、多少の曲がりや勾配の変化は生曲げ等で調整可能なのが、丘陵地の配管で大きなメリットになりました」と語った。
急斜面に外層付水道配水用ポリエチレン管〝サンプロテクト〞
工事で最大の難関となったのが、最大斜度30°の急斜面に沿った露出配管であった。
ここには数メートル間隔で設置されたコンクリート基礎ブロックに古い鋼管が固定され、同様の配管材で布設替えするとなると重機が入れず、困難な施工が予想された。
橋本さんは当初から、「露出用の配管材ではないので保護が必要になるが、現場の状況や工事の安全面から水道配水用ポリエチレン管を用いるべきではないか」と考えていた。そんな時、クボタケミックスから紹介されたのが、外層付水道配水用ポリエチレン管〝サンプロテクト〞であった。
サンプロテクトは、表面に低密度ポリエチレンの保護層を設け、内層管である水道配水用ポリエチレンパイプを紫外線やキズから防護する。耐震性に優れた水道配水用ポリエチレンパイプを露出部分に使用できるので、本件のような工事には打ってつけの配管材であった。
正式発売の前にも関わらず採用が決まり、工事に間に合うよう開発が急ピッチで進められた。
同時通電工法でスピードアップ
急斜面では融着機や発電機を設置することができず、安全面からも問題があるため、EF接合作業は困難であった。そのため急斜面のコンクリート基礎ブロックに取り付けられた配管架台に施工用のローラーを設置し、緩い斜面で陸継ぎしたサンプロテクトを斜面の入口でEF接合し、順次ローラーで急斜面に送り込むという作業手順で施工された。
この急斜面の工事で大きな威力を発揮したのが、クボタケミックスEF継手の同時通電工法だ。2口同時に行えるため、急斜面の入口でのEF接合の回数や時間は、半分近くに短縮でき、施工困難な現場にも関わらず、延長50m、高低差30mの施工は予定通り終了した。
国土の約70%が山で覆われる日本。箕面市のような山間地や丘陵地を持つ自治体は数多い。そんな山間地での水道配水用ポリエチレンパイプの採用事例を、これまで本誌で多数紹介してきた。
そして今回、新たにサンプロテクトが開発され、水道配水用ポリエチレンパイプが施工困難な場所で露出配管できるところを取材し、改めてこの配管材の可能性を実感することができた。
急傾斜地のみならず、水道配管を橋梁添架する際に、サンプロテクトを使用することで、ポリエチレン管の軽量で錆びない特性を活かしコストの低減を図る等、様々な展開が考えられる。