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2016/06/29

石油コンビナートの消火配管にポリエチレン管が使用可能に

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石油コンビナート等における消火用屋外給水施設の配管について、これまで鋼製のものに限定されていたが、合成樹脂管を使用できることとし、これに関する基準を追加するとともに配管に関する定期点検の実施方法の一部を改正する省令が出された。これに合わせて、合成樹脂の管等を使用する場合の運用上の技術的助言に関する運用通知が発出された。ここでは、省令改正の概要について説明する。

石油コンビナートの消火用屋外給水施設に使用可能になった消火ポリエチレン管

改正の背景と目的

昭和40年代に相次いだ石油コンビナート災害を契機に石油コンビナート等災害防止法が昭和50年12月に制定された。この法律では、石油コンビナート等特別防災区域の防災体制の確立を図ることを目的に、石油を大量に貯蔵・取り扱う又は高圧ガスを大量に処理する特定事業所に対し、自衛防災組織や特定防災施設等の設置が義務づけられている。
特定防災施設等のうち、消火用屋外給水施設について、その配管は鋼製、かつ、原則地上に設置することとされていた。一方、消火用屋外給水施設は、この法案の施行前から存するものが多くを占め、中には鋼管が地下に埋設されている等、設置から40年以上が経過し、腐食による漏水や管摩擦損失の増大による給水能力の低下等が懸念されている。こうした状況を踏まえ、特定防災施設等に対する定期点検の実施方法(昭和51年消防庁告示第8号)の一部を改正する件(平成26年3月31日付け消防庁告示第8号)が平成26年4月1日から施行され、設置から40年を経過した同施設に対する点検基準も強化された。
このような中、近年、優れた性能を有する合成樹脂配管が様々な分野で用いられ、一般の消防用設備の配管については、平成13年の消防法施行規則の改正及び消防庁告示制定により利用が可能となっている。 そこで、消防庁では、今後増加が見込まれる消火用屋外給水施設の配管の更新や改修の増加等に対応するため、平成26年度に「石油コンビナート等の消火用屋外給水施設における合成樹脂配管の使用に関する検討会」を開催し、合成樹脂製の管等の使用に対する種々の課題を検討した。この結果を踏まえ、石油コンビナート等における特定防災施設等及び防災組織等に関する省令の一部及び特定防災施設等に対する定期点検の実施方法の一部が改正された。

報告書の内容は資料1の通りである。また、改正省令及び改正告示の概要については、資料2、資料3の通りである。

消火用屋外給水施設の例
消火用屋外給水施設の例

消火用屋外給水施設の例(〇の部分が消火栓・配管)
写真出典:「資料3 防災施設の概要」(消防庁)

KC消火ポリエチレンパイプが使用可能

平成27年10月1日付けの「石油コンビナート等における特定防災施設等及び防災組織等に関す省令(昭和51年自治省令第17号)の一部を改正する省令(平成27年総務省令第86号)が公布・施行され、石油コンビナート等特別防災区域における特定事業者の消火用屋外給水施設の配管で合成樹脂製の管等が使用可能となった。
使用できる合成樹脂管とは、平成13年消防庁告示第19号、「第三 管等の性能」に規定する屋内消化柱設備及び屋外消火柱設備の配管に適用される各試験に合格するものであること」とされている。また、これらの合成樹脂管は(一財)日本消防設備安全センターの認定を受けることとなっており、クボタケミックスの消火用ポリエチレンパイプ・継手は、呼び径50〜200において同センターの認定を取得しているので、0.6m以上の埋設管として使用可能である。
近年発生している巨大地震に対して、これまで水道配水用として高い耐震性能を証明してきたポリエチレンパイプの活用は、消火用屋外給水施設の災害対策としても貢献が期待でき、ひいては石油コンビナート区域等の防災対策強化に繋がるものと考えられる。

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資料1石油コンビナート等の消火用屋外給水施設における合成樹脂配管の使用に関する検討会報告書(抜粋)

1 検討の目的等

石油コンビナート等における消火用屋外給水施設等の点検基準を強化もあり、古くなった施設の改修、更新の需要が高まる可能性がある。すでに、消防法第17条に基づく、消防用設備等については、一定の基準に適合する合成樹脂配管の使用を認めてられており、消火用屋外給水施設における合成樹脂配管の使用についても、そのニーズが存在する。このため、合成樹脂配管を使用する場合の課題と対策について検討する。

2 特定防災施設等(消火用屋外給水施設)の現状等について

  • ①消火用屋外給水施設の配管の基準

    消火用屋外給水施設の構造基準は、「石油コンビナート等における特定防災施設等及び防災組織等に関する省令」第10条に規定され、その配管は、鋼製のものを原則地上に設置することとなっている。

  • ②消防用設備の配管の基準(消防法施行規則第12条)

    消火用屋外給水施設と類似の設備である屋外消火栓設備の配管については、消防法施行規則第12条第1項第6号を準用し、金属製の管及び消防庁長官が定める基準に適合する合成樹脂製の管とされている。
     基準となる試験:漏れ試験・耐圧試験・破壊試験・水撃圧試験・曲げ試験・引張強度試験・押しつぶし試験・衝撃試験・長期静水圧試験・繰り返し温度試験

3 消火用屋外給水施設に合成樹脂配管を使用する場合の課題等について

  • ①合成樹脂配管の特徴

    鋼管と比べて合成樹脂配管は、軽量で柔軟性があるため施工性に優れる。 その他、耐震性、 耐薬品性に優れており工事コストも安価である。ただし、熱 や紫外線に弱い。

  • ②合成樹脂配管の課題と対応方法

    •熱影響等:地下に埋設するなど地表からの距離を確保することで、火災による熱、熱伝導、紫外線などの影響が十分低減できると考えられる。
    •大口径配管の対応:消防庁告示に定める試験基準の試験により必要な性能を確認することとする。
    •埋設配管への様々な荷重(地震動、活荷重及び土圧)の影響:地表から一定の距離で埋設することにより、地震動の影響,土圧等の影響を避けることができる。
    •周囲で油漏れが発生した場合の影響:化学物質に対し比較的に強い耐薬品性を有しているため、常温では急速な強度の低下等の可能性は低く、機能維持には支障ないと考えられる。

4 合成樹脂配管の施工上の留意点について

  • ①埋設時等の留意点

    使用する管が埋戻し土圧、車輪荷重、水及び管自重の外力や地震動に対する安全の確認を行う。(参考:(社)日本水道協会の水道施設設計指針や水道施設耐震工法指針・解説等)

  • ②埋設位置標識

    埋設する場合は、維持管理や工事等が行われることを考慮し、地上または地中の配管経路に配管の埋設位置及び軸方向を示した表示、また仕切弁の設置箇所には、位置標識を設けることが必要である。

  • ③摩擦損失

    管路設計において、配管の摩擦損失水頭の評価が必要である。合成樹脂配管の内面は、一般に鋼管よりも平滑なため、実態に則した摩擦損失について検討する。

  • ④鋼管との接続

    地上部分の消火栓やバルブと接続する場合、埋設の合成樹脂配管と地上の鋼管を接続する必要が生じる。この場合、次のような配慮が必要である。
    •ピット内接続を行う場合は、地上から60cm以上の根入れの確保、ピット内に は雨水等の進入を防止できる不燃材料製の蓋を設けることが必要である。
    •寒冷地など地中接続を行う場合は、その範囲を必要最小限に限定すると ともに腐食防止措置を講ずることが必要である。

5 合成樹脂配管の定期点検について

合成樹脂配管における埋設部分の定期点検は、放水試験のみで外観点検等は必要なし。

資料3石油コンビナート等における特定防災施設等及び防災組織等に関する省令の一部を改正する省令について

(平成27年10月1日公布・同日施行)

1 改正理由

現在、石油コンビナート地区における消火用屋外給水施設の配管は鋼製のものに限定されているが、合成樹脂製の管は、耐腐食性や耐震性等が鋼製の管に比べて優れており、また、一般の消防用設備(屋外消火栓設備等)としても広く利用されていることから、石油コンビナート等の消火用屋外給水施設の配管においても合成樹脂製の管を使用できるようにするものである。
平成26年度に「石油コンビナート等の消火用屋外給水施設における合成樹脂配管の使用に関する検討会」( 座長: 亀井浅道 元横浜国立大学特任教授)を開催し、消火用屋外給水施設に合成樹脂製の管を使用する場合の課題と対策について検討を行い、その検討結果を踏まえて改正された。

1 改正内容

第10 第1項第2号イ中「鋼製」の下に「又は合成樹脂製」を加え、同号イに次のただし書を加える。
ただし、合成樹脂製の管にあつては、消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第12条第1項第6号ニ(ロ)に定める基準に適合するものに限ることとし、合成樹脂製の管を接続するものの管継手にあつては、同号ホ(ロ)に規定する消防庁長官が定める基準に適合するものに限ることとする。

第10 条第1項第2号ロを次のように改める。
ロ 鋼製の管、管継手及びバルブ類等は、地上に設置されていること。ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。

  • (1)防護構造物内に設けられるとき。
  • (2)寒冷の度の著しい地域にあつて、外面の腐食を防止するための措置及び漏水を点検することができる措置を講ずる場合であつて、市町村長等が適当と認めたとき。
  • (3)合成樹脂製の管と接続する場合において、外面の腐食を防止するための措置を講じたときであつて、市町村長等が適当と認めたとき。

第10 条第1項第2号中ハをニとし、ロの次に次のように加える。
ハ 合成樹脂製の管及び管継手は、火災の熱等の影響を受けないように設置されていること。

3 改正のポイント

  • •使用できる樹脂管および継手は、平成13年消防庁告示第19号「第三 管等の性能」に規定する屋内消火栓設備及び屋外消火栓設備の配管に適用される各試験に合格したものでなければならない。

  • •火災の熱、紫外線及び荷重の影響を受けないように、地表面から合成樹脂の管等の外面までの距離を0.6m以上離した地下に埋設することが「合成樹脂製の管等を使用する場合の消火用屋外給水施設の設置基準(平成27年10月1日 消防特第161号 消防庁特殊災害室長通知 別紙)」に明記された。

資料3特定防災施設等に対する定期点検の実施方法(昭和51年消防庁公示第8号)の一部改正について

(平成27年10月1日公布・同日施行)

1 改正内容

3 総合点検の実施方法

(2)消火用屋外給水施設
カ 寒冷の度の著しい地域にあって、鋼製の配管(合成樹脂製の管と接続する場合を除く。)を地下に設置するものにあっては、漏水を検知できる計器等により、漏水がないかどうかを確認すること。

2 改正のポイント

合成樹脂製管の埋設配管は、漏水の心配がなく漏水確認を必要としない。

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