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2016/07/07

最新の物流システムを火災から守る消火用ポリエチレンパイプ

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最新の倉庫で消火用ポリエチレンパイプΦ100が初採用

仙台市の中心地から北へ20km、東北自動車道、大衡インターからすぐという便利なロケーションに開発された第一仙台北部中核工業団地。仙台北部中核テクノポリス高層の中心的なプロジェクトとして期待されているこの工業団地には、すでに大手自動車メーカーや食品メーカーなどが進出し、業務を開始している。
そんな活気あふれる工業団地に、新しく倉庫を建設したのが東磐運送株式会社。岩手県一関市に本社を持つ同社は、一般運送サービスはもちろん、産業廃棄物収集運搬などの特殊運送、保管業務と納品代行業務を行う倉庫サービスなどの幅広い業務を行う。営業エリアは岩手県を中心に青森、宮城県をカバーする。そして東北、北関東地域の自動車産業をサポートする物流倉庫「仙台北部ロジスティックセンター」が本年1月に完成した。
この倉庫の特徴は、トラックがそのまま建物の中に入って荷物の積み卸しができる低床設計。また、雨や雪などの影響を受けないようシートシャッターを採用している。自動車関連の物流に特化したこの倉庫では、自動車部品の多回納入に加え、流通加工や自動車のモジュール化まで対応する。東磐運送が新しいモデル倉庫として位置づけるこの倉庫の工事が始まったのが昨年9月。1月の完成を目指して高おじが急ピッチに進められた。とりわけ屋外消火設備配管は工期が短く、基礎部分の完成後、数日間。そんな短い工期を可能にしたのがクボタケミックスの消火用ポリエチレンパイプ。水道配水用ポリエチレンパイプ(日本水道協会規格JWWA K 144)で消火設備用途として(財)日本消防設備安全センターの認定取得後、初めての採用である。

消火用ポリエチレンパイプ
消火用ポリエチレンパイプ

生曲げ配管でベンドの数を削減

短期間での配管を完成させた株式会社ユアテック仙台営業所の千葉佳樹さんは、従来のVS管(外面被覆鋼管)との施工性の違いを指摘した。「VS管のねじ込み式であれば、管材は一人で持つこともできず、施工できるのは一日20mがいいところ。それが今回の消火用ポリエチレンパイプでは、軽くてハンドリングしやすい管材と手順が簡単なEF接合のお陰で、一日40mまで施工距離が伸びた」。さらに、施工スピードが上がった要因に、ポリエチレンパイプの柔軟性をあげる。建物の基礎部分には凸凹があり、鋼管であればベンドを多用しないといけない。しかし、ポリエチレンパイプの管路であれば生曲げ配管が可能なため、ベンドを使用せず配管ができた。千葉さんは、「ベンドの数を減らすということは、施工スピードを上げるだけでなく、コストも減らすことができ、漏水などの可能性も下げことができる」といろいろなメリットを語った。

配管概略図

配管概略図

漏水の心配がないポリエチレンパイプ

一方、消火用ポリエチレンパイプの採用を決めた株式会社大林組東北支店の伊地知海さんは、採用理由としてこれまで主に使われてきたVS管の問題点に言及した。「VS管の場合、どうしても継手の部分で経年とともに劣化し、漏水の事例が多い。漏水が発生すると、漏水箇所の特定から改修工事まで大変な作業になる」。そこで、漏水をしない管材はないかと探していた時に行き着いたのが、クボタケミックスの消火用ポリエチレンパイプだった。「もちろん、高価な管材を使えば漏水は防げる。しかし、工事全体のコストが厳しくなる中、コストアップは避けなければならない。消火用ポリエチレンパイプなら水道本管で実績のあるEF接合で漏水の可能性も極めて低くなり、管材費用もVS管の約2、3割は安くなる」とコスト面での優位性も評価した。また(財)日本消防設備安全センターの認定を取得しているので、今後、屋外埋設消火配管で消火用ポリエチレンパイプの採用が増えるのではないかと予想する。
岩手県南部から宮城県北部にかけての地域は、我が国の新しい自動車生産拠点として期待が寄せられている。その自動車生産に不可欠な部分物流で中心的な役割を担う新しい倉庫が稼働し始めた。それは同時に消火用ポリエチレンパイプという新しい配管材による消火設備の始まりでもある。長期にわたって漏水等の無い安定した管路としてはもちろん、地震が多い地域だけに、耐震管としての性能にも期待がかかる。