エコキュートの高温排水を安全に処理する「タフカラーHTパイプ」
福岡市千早エリアの人気のマンション
発展の著しい福岡市東区の「千早エリア」は、福岡都市高速1号香椎線と九州旅客鉄道(JR九州)鹿児島本線の間に広がる住宅地域である。近年、再開発が進み商業施設や高層建造物が増加して、マンションも相次いで新築されている。
この千早エリアの基点となるJR線、西鉄線千早駅から徒歩3分という便利な立地に、作州商事株式会社が手がける「エイルマンション千早駅前ロゼア」が建設されている。震度6強~7の東日本大震災クラスの地震に対応できる免震構造が一番のセールスポイントである。売れ筋の4つのメニュープランから家族構成や生活スタイルに合わせて設計変更が可能ということも人気の要因となり、総戸数161戸は販売開始から1年を待たずして完成となった。
エコキュートの高温排水配管にタフカラーHTパイプ
ココアブラウン色のタフカラーHTパイプ
そんな人気のマンションの特長の一つがオール電化である。中でもエコキュートは、ヒートポンプで空気の熱を圧縮し高効率でお湯を沸かすことができ、さらに夜間に使用すると電気料金の節約にもつながる。
このエコキュートは高温のお湯を扱うため、排水用に専用の管路が必要である。特に沸き上げ運転中は、貯湯タンク内の水の温度が上昇し膨張するため、膨張分が高温のお湯となり排水される。
作州商事株式会社が扱うマンションでは、これまで高温排水は鋼管に塗装して対応してきた。しかし、排水温度は90℃以上にもなり、熱伝導率が高い鋼管の表面温度は高温となってしまう。高温注意のステッカーを貼って注意喚起を行ってきたが、小さな子どもがベランダで遊ぶことなどを考えると、火傷の不安が拭えない。
「もっと管路を安全にできないか」ということで検討されたのが、クボタケミックスのタフカラーHTパイプである。「実際、管路を触ってみると分かります。鋼管は熱くて危険ですが、塩ビ製のタフカラーHTパイプなら全然大丈夫。これなら子どもへの安全性が向上すると採用を決めました」というのは作州商事株式会社、事業本部、取締役工務部長の丹村光治さん。
接着接合&塗装レスで施工性向上
タフカラーHTパイプは、施工面でも現場に大きなメリットをもたらした。給排水工事を担当した株式会社曙設備工業所、工事部の津秋哲也さんは、「タフカラーHTパイプは塩ビ管ですから、軽量で扱いやすく、切管も特殊な工具なしで現場で行えます。 さらには、表面に耐候性向上カラー樹脂が使用されているので塗装の必要ありません。これが鋼管になると専用工具を用意した作業スペースで、切管(ねじ切り)や塗装をやってから施工現場に運び施工を行わなければならないので、その手間は比べようがありません」。
また、工事全体を請け負う株式会社旭工務店、工事部の森下貴幸さんは、 「工具の数や部材の数を考えてもタフカラーHTパイプの方が少なく、材料管理の面でも楽です。また、鋼管に塗装をする場合、後々塗装のやり直しなど修繕面でコストがかかってきますが、タフカラーHTパイプは耐候性向上カラー樹脂のため長期的な美観の維持が期待できます」。とタフカラーHTパイプの長所を指摘した。
KCの建築設備用配管材が大量採用
タフカラーHTパイプの他、本マンションには数多くのクボタケミックスの建築設備用配管材が採用された。例えば、給水給湯配管に採用されたのが、ポリブテンパイプのプレファブ加工品である。これまで給水用にはHIVP、給湯用には架橋ポリエチレン管かポリブテンパイプを使って現場施工を行ってきたが、作業の効率化と施工不良のリスクを下げるため、初採用となった。
プレファブ加工品としてもう一つ、共用部の給水立て管に建築設備用ポリエチレン管が採用された。各階の配管を2分割にして、一階当たり電気融着接合は1か所のみである。管材の軽さはもちろん枝管がフレキ管なので、配管が非常に楽であると工事サイドの評価も高い。また、サビ、腐食の心配がなく、耐久性があるため、長期使用が可能で、後々の修繕費などユーザーへの負担を減らすことができる。
共用部給水立て管の建築設備用ポリエチレン管⇒電気融着接合箇所
排水集合管システムにはクボタケミックスの最下階専用集合管4SRとコンパクトLベンドによる最下階立て管合流方式が採用された。これにより配管形態の単純化による排水性能の向上と省スペース化、メンテナンス性の向上等が可能となり、構造的にも貫通部を減らすことで躯体強度を高められる等、多くのメリットを引き出した。
今回のマンション建設では、デベロッパーである作州商事株式会社が工事会社の協力を得て工事開始ぎりぎりまで管材の選択を行った。安全性・信頼性の高い管路の構築、さらには優れた性能の長期安定性など、全ては住む人のことを考えた管材選びである。そんなマンションに多くのクボタケミックスの建築設備用配管材が採用されたことはこの上なく喜ばしいことである。
ポリブテンパイプによる給水給湯配管と塩ビ管の排水管路
排水集合管+延焼防止機能(カンペイ君、カンペイ立管)の組合せにより、塩ビ管(VP)で横引きころがし配管が可能です。
コンパクトLベンドによって省スペース化を実現