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非住宅
2016/07/07

先進の大学病院で長時間治療の負担を軽減する放射冷暖房システム

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北里大学病院のスマート・エコホスピタルプロジェクト

大正3年、「日本の細菌学の父」として知られる北里柴三郎が北里研究所を建学してちょうど百年になる。その百周年記念事業として、北里大学病院の建て替えが平成23年9月から行われ、新病院が平成26年5月に開設された(旧病棟の改修工事等全ての工事は、平成27年7月まで行なわれる予定)。本病院では、患者やスタッフにとって最良な療養環境と次世代の環境にやさしい病院を両立した「エコ療養環境」を実現するため、病院、大学、エネルギー外車、設計会社がチームとなり「スマート・エコホスピタルプロジェクト」を立ち上げた。
このプロジェクトを実現させるため、さまざまな技術的提案が行なわれた。その中核をなす提案が「ゼロエナジー病室」。患者とって快適性の高い自然光と風を取り込み、再生可能エネルギー(太陽、井水熱)を積極的に利用する。また、建設的な工夫により空調負荷を低減するパッシブ技術と空気汚れセンサー・LED照明など先端技術を融合したアクティブ技術により快適性とエネルギー削減の両立を目指す。

北里大学病院

北里大学病院(神奈川県相模原)
学校法人北里研究所が運営し、2014年に研究所の創立百年を迎えた。神奈川県災害医療拠点病院および特定機能病院。

ゼロエナジー病室の概念図

ゼロエナジー病室の概念図
自然の光や風を取り込み、再生可能エネルギーを使用し、先端技術も取り入れ、病室のゼロエナジー化を目指す。

人と環境にやさしい放射冷暖房システム

アクティブ技術のなかには、新しい放射冷暖房が採用された病室がある。放射冷暖房とは、天井パネル内のパイプに冬季は温水を、夏季は冷水を流してパネルの表面温度を調節し、空調を行う方式。放射冷暖房は、対流式のような温度の偏りが無いため患者に優しく、エネルギー消費も抑えられるため環境にも優しい。まさに同病院が目指すスマート・エコホスピタルの理念に合致した空調である。さらに、同病院では、温水・冷水の一部に太陽熱と井水熱を利用してそれぞれ水を加熱・冷却するエネルギー消費を節減している。
放射冷暖房が採用されたのは、最上階に設けられた特別個室病棟、抗がん剤治療を行う「集中的がん診療センター」、人工透析を行う「血液浄化センター」の3箇所。特別個室は、患者の希望に合わせて利用できる高級な仕様になっており、その付加価値を高めるために放射天井パネルが設置された。また、集学的がん診療センターや血液浄化センターは、患者が長時間治療を受けるため、できるだけ空調による負担を軽減するために設置された。
放射冷暖房を提案した株式会社日建設計、設備設計部門、設備設計部主管の塚見史郎さんは、「人工透析の場合、平均で4時間程度の治療が必要です。対流式空調で直接風が当たるのは、患者にとって大きな負担。他の病院でも放射冷暖房の採用が増えてきている人工透析や科学療法の病室での設置を提案しました」。

血液浄化センター

血液浄化センター
ベッド数25床で、平均4時間の人工透析治療を行う。

特別個室

特別個室
最上階にある19室の個室は3タイプ(写真は最上級の病室)。最上級の病室には、ベッドの部屋の他、浴室や居間なども併設されている。

コスト低減を可能にしたクボタケミックスの放射冷暖房システム

放射冷暖房の採用で課題となるのが、コストの問題。病院はもとより、日本の建築物は初期費用を大きくできない。放射冷暖房の採用は、どれだけ初期費用を抑えられるかにかかっている。また今回、パネルの表面を天井の色に合わせるなどの意匠性にも注意が払われた。これらコストや性能および意匠への要求を満足させるため、複数のシステムが検討された結果、クボタケミックスの放射冷暖房システムが採用となった。
設計にあたって配慮された点は、空気の流れ作ることで淀んだ場所を作らないこと。また、温熱環境を適切にするため、それぞれのベッドの上に放射天井パネルが配置されるような工夫がこらされた。
実際に夏の期間、放射冷暖房を使用された血液浄化センターの看護師にお話を聴くことができた。看護師の方々は、忙しく動き回っているので、対流式空調との違いは分かりにくい。しかし、毛布を使われる患者はこれまでより確実に減っており、不快と感じられる患者は少なくなっているとのこと。このことから、放射冷暖房が患者に対して空調の負担を軽減できる効果があることを伺うことができた。
放射冷暖房の使用は、始まったばかりで温度設定など、いろいろな試みが行なわれている。今後は徐々に使用者からその性能や効果について情報が集まり、最適な使用方法に近づいていくと思われる。
※北里大学病院で使用された放射天井パネルはドイツUponor製です。

放射天井パネルの基本構成

放射天井パネルの基本構成
一台のベッドに対して、点検口を挟んで600×1200の放射天井パネルが2枚使用される。